ダイナミック ビジョン システム
研究目的
人間を含む様々な現象は基本的にダイナミクスを有し, 従来のセンシング方法では困難を伴うため扱いきれていないものも多く存在する. ダイナミックビジョンシステムとは,光学系などに工夫が施されたビジョンを用いて, ダイナミックな対象を適応的に計測・理解・応用するシステムのことである. 対象のダイナミクスに対応したダイナミックな計測系を利用することで, 情報の品質劣化の原因の一つであるダイナミクスを解消した高度な計測及び情報提示が可能となり, 様々な新規応用の創出が期待できる.
ダイナミックビジョンシステムは,光学系や処理系に工夫を凝らす基礎技術の開発と, ダイナミックな対象への様々な応用展開の両輪によって, 新たな画像計測技術の確立及び発展を目指した研究である. 具体的には,映像メディア,ヒューマンインターフェース,検査・FA,スポーツ,医療・バイオなど, 幅広い分野で応用を実現しており,更なる基礎技術及び応用展開の拡充を目指している.
応用分野
光学機器 (カメラ)・メディア等業務用放送機材の視線・映像制御, 高速対象追跡撮像, 多視点映像制御, 映像再構成技術, 全焦点画像撮影, 高速自動焦点機能, 医療・バイオ・ライフサイエンス・生命科学 (顕微鏡・内視鏡作業), 医療検査診断 (細胞検査・血液検査・不妊治療の高速化と高精度化), 顕微鏡手術補助 (振戦除去・焦点調整), 医薬品許認可検査の自動化 (動物実験の長時間・客観データ取得), 製造技術・FA・ロボットにおける撮像制御, 監視カメラ高速化・広視野化, 動的物体への情報提示 (動的プロジェクター, レーザ描画等), 拡張現実感 (AR)等.
研究成果
高速光軸制御系とその応用
- 拡張現実感応用と関連技術
- 高速注視点推定による広域高解像度投影システム(2020-)
- EmnDash: M系列破線マーカーによる高速自己姿勢推定(2020-)
- VarioLight 2: 円周マーカを用いた球体ダイナミックプロジェクションマッピング(2020-)
- ゴルフスイングトレーニングに向けた高速投影フィードバック(2020-)
- 高速同軸制御光学系とアクティブマーキング法による回転対称体への発色描画システム(2019-)
- VarioLight(広域運動・回転変形に対応したプロジェクションマッピング)(2018-)
- 追従的投影モザイキング(2018-)
- DynaFlash: 1,000fps・3ms遅延で8bit階調の映像を投影する高速プロジェクタ(2015-)
- るみぺん2(ダイナミックプロジェクションマッピングに向けたロバストトラッキング)(2014-)
- 動く手のひらや物体に映像と触覚刺激を提示できるシステム:高速で無拘束な未来型情報環境の実現(2012-)
- るみぺん(動的対象へのプロジェクションマッピング)(2012-)
- VibroTracker: 振動触覚共有システム(2012-)
- 追跡的光線投影による残像を用いた動体軌跡上情報投影(2011-)
- 撮像制御応用
- Apollon Mark:先読みミラー制御によるボールマーク可視化システム(2022-)
- 自由遊泳魚の高解像度合焦トラッキング(2018-)
- トラッキングBOS: 高速飛翔体の衝撃波画像計測(2013-)
- 球面鏡の高速トラッキングによる動的映像計測(2012-)
- 1msオートパン・チルト(2011-)
- 高速飛翔体の映像計測(2010)
- デバイス開発と改良
可変形状光学系
- システム開発
- デバイス開発
液体可変焦点レンズとその応用
- 応用システム
- 液体レンズを用いた高速焦点追従投影システム(2019-)
- 大口径可変焦点レンズによる屈折力調節可能な老眼鏡(2013-)
- 可変焦点レンズによる色消しアダプティブダブレット (2013-)
- 焦点の異なる複数の画像を用いた三次元運動認識手法 (2011-)
- 高速液体レンズによる焦点スキャン画像群を用いた任意焦点・任意被写界深度の画像合成手法 (2011-)
- 高フレームレート全焦点画像合成のための高速可変焦点光学系 (2009-)
- 高速フォーカスビジョン (2009-)
- デバイス開発
画像処理・画像計測アルゴリズム
- ターゲットトラッキング
- カメラ校正
- 三次元画像計測
JST-ACCEL 「高速画像処理を用いた知能システムの応用展開」シンポジウムが開催されました.
詳しいレポートは、こちら. 研究者のインタビューをまとめたものは、こちら.