ローコスト高解像度三次元マイクロスコープ
概要
光学システムでは大口径レンズを利用すると高解像度な画像を撮影可能であるが、被写界深度が浅くなってしまう。高解像度性と被写界深度の拡大を両立させるには、モーターのラック・ピニオンの動きによってレンズを前後に駆動する必要がある。
しかし、モーターの連続的な前後回転は正負の電流を交互に利用するため高い電力を消費してしまい、オーバーヒートを防ぐ安全のための停止が働いてしまう。また、このような状況で高速な応答を達成することは極めて困難である。
このような問題に対し、本研究では顕微鏡システムを改造して三次元焦点走査を達成できるような、低コストかつ容易に利用可能な方法を構築した。具体的には、異なる厚さのプレートを有する可変焦点スピナーを作り、異なる焦点面で12枚の画像群を撮影し、画像群のスケール・位相を補正してからラプラシアン演算子を用いて合焦画素を抽出し、全焦点画像および奥行きマップが得られる。
本システムの基本原理は参考用として有用で、自身で可変焦点スピナーを容易に構築でき、特定の目的に向けたパラメータ修正を含む再設計が容易である。バイオイメージング、チップ検査、三次元センシング、3Dプリントを含む様々な応用が期待される。
図1 屈折の法則の模式図。レンズの前方に媒体2を配置することによって、f1からf2まで焦点距離を延長する。 |
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図2 実験のセットアップ。(a) 可変焦点結像系セットアップの模式図。(b) 実験装置の写真。可変焦点スピナーは、異なる厚さの透明プレートで取り付けられた12個の開口部を有する。 |
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図3 板厚を0 mmから11 mmに変えて得た画像。(a) 生画像シーケンス。(b) スケールと位相を補正し、ラプラシアンエッジ検出した画像。(c) 合焦画素を統合することで生成した全焦点画像。(d) 画像のインデックス番号から作成した奥行き情報を含む奥行きマップ。 |
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参考文献
- Lihui Wang, Jianjiang Cui, Satoshi Tabata, Masatoshi Ishikawa, Low-cost, readily available 3D microscopy imaging system with variable focus spinner, Optics Express, Vol.26, Issue 23, pp. 30576-30587 (2018).[PDF(73.9MB)][DOI:10.1364/OE.26.030576] *OSA
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