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Apollon Mark:先読みミラー制御によるボールマーク可視化システム

概要

球技スポーツにおける競技の公平性に向けて,ボールのイン・アウトなどの判定に対し審判補助システムが活用されている. 特にテニス競技においては,高速なマルチカメラを活用してボールの三次元軌道を計測し, テニスコートのラインとボールの三次元軌道の位置関係から,イン・アウト判定を行うシステムが公式大会に数多く導入されている. しかし,三次元軌道から推定されたボールの着地位置は,実際のボールのバウンド痕跡とは数[mm]単位で誤差を有する可能性がある. 実際,バウンド痕跡が残りやすいクレーコートでは,このマルチカメラの審判補助システムは導入されない傾向にある.

そこで本研究では,ボールの地表面への接触に対し生じる微小な物理的変形を高解像度カメラで捉える, ボールの高速なバウンド位置予測と先読みミラー制御によるボールマーク可視化システムを提案する(図1). 本システムは次の3種類の技術要素から構成される(図2). (1)マルチ高速カメラによりボールの三次元軌道を計測し,運動情報をカルマンフィルタ等で推定し,バウンド位置を即時に予測する. (2)予測バウンド位置に向けて,高解像度カメラの視線方向を先読みとして高速に制御する. そして,(3)バウンド直前・直後の地表面の高解像度テクスチャ画像を撮影し,その差分によりボールマークを可視化する. 本システムは,光学制御技術(光)を用い,落下するターゲットより先にその着地位置を予測(予言)することで ボールマークの可視化を実現しているため, 光と予言の神であるApolloから「Apollon Mark」と名付けた.

本技術は,芝生など一見ボールマークが分かりにくい地表面に対して, 高速な運動予測と光学系制御を活用することでボールのバウンド直前の高解像度画像を積極的に取得する点が特徴的である. すなわち,十分な解像度をもつバウンド直前の地表面画像を,バウンド直後の地表面画像と単に比較するだけで, ボールマークの可視化を容易にするものである(図3). 本システムは,公平かつ迅速な審判補助システムとしてスポーツ分野の発展に寄与するだけでなく, 移動体と壁や地面などの接触面の検査といったインフラ等の応用展開も将来的に期待される.


図1 コンセプト
図2 システム構成
図3 ボールマークの可視化

参考文献

  1. Himari Tochioka, Tomohiro Sueishi, and Masatoshi Ishikawa: Bounce Mark Visualization System for Ball Sports Judgement Using High-Speed Drop Location Prediction and Preceding Mirror Control, SICE Annual Conference 2023 (SICE2023) (Tsu, 2023.9.8)/Proceedings, pp.784-789 SICE Annual Conference International Award
  2. 栃岡陽麻里,末石智大,石川正俊:球技スポーツの着地痕跡判定に向けた高速ビジョンを用いた落下位置予測,第23回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会 (SI2022) (千葉,2022.12.16)/講演会論文集, pp.2089-2092 計測自動制御学会 システムインテグレーション部門SI2022 優秀講演賞

東京理科大学 研究推進機構 総合研究院 石川グループ研究室
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