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フラクタルを利用したカメラ校正パターン
概要
カメラを利用した三次元計測や拡張現実感システムでは事前のカメラ校正が必要であり,校正器具として平面パターンがよく用いられる. 様々なズーム倍率に対して対応可能なパターンは様々なシーンの校正に役立つが,チェスボードなど一般的なカメラ校正パターンではスケーラビリティとオクルージョンには対応が難しい. すなわち,一定のサイズの四角や円のマーカーではズーム倍率の高低両方のカメラにおいて,十分な解像度での観測とパターン中におけるマーカーの位置の一意の特定が困難である.
そこで様々なズーム倍率に対し,自己相似性をもつフラクタルを用いたパターンを提案する. シェルピンスキーのカーペットと呼ばれるフラクタル図形を,高精度なカメラ校正を意識してサークルグリッドの形に変形し, なおかつ2値の符号情報をサークル・リングの形で表現している. ここで2値の符号情報として2次元M系列であるM配列を用いており, 特定の範囲内ではパターンの一部を観測するだけで全体における位置が一意に特定可能となる. 一つの応用例として,フラクタルの段数を3に設定したパターン(図1)を用いると,高低両方のズーム倍率の条件でもARマーカーフィールドとして同一の位置にCGモデルを重畳できる(図2, 3). フラクタル構造と適切な符号情報を含んだ校正パターンは,ズーム倍率の異なるマルチカメラ系や拡張現実感のシステムの構築を容易にし,様々な応用へと繋がる.
参考文献
- 末石智大,石川正俊: 高速視線制御系と広角カメラの協調に向けたフラクタルパターンによるカメラ校正, 2016年映像情報メディア学会年次大会 (三重, 2016.8.31-9.2)/講演予稿集,21C-2 (2016)
- Tomohiro Sueishi, and Masatoshi Ishikawa: Circle Grid Fractal Pattern for Calibration at Different Camera Zoom Levels, 8th ACM SIGGRAPH Conference and Exhibition on Computer Graphics and Interactive Techniques in Asia (SIGGRAPH ASIA 2015) (Kobe, 2015.11.2-5)/Poster, Article No.21