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誘電エラストマーを用いた光線位置制御手法

概要

レーザー及びレーザーの照射位置制御技術は,我々の身近に使われている技術の一つであり,デジタル生活を支えているといえる.昨今ではレーザーそのものや照射位置制御技術の向上により,材料加工や三次元プリンター,三次元センシング等の用途によって高精度な仕上がりが要求されるアプリケーションにおいてもレーザーが活用されている.

最も普及している制御手法として,ギアの組み合わさった機械的な運動に基づく位置制御手法が挙げられるが,ギアはバックラッシュ等を起こすだけでなく,高精度になればなるほどコストが嵩むため,現実的には精度に限界があった. 例として,ガルバノミラーはギアを利用した機械機構と比べ単純な構成であるため高精度を出すことが可能であるが,依然として機械機構であり,また,角度制御による位置制御となってしまうため,対象までの距離が長くなると精度が落ちる問題点があった.

以上のことから,機械機構ではなく,且つ角度制御に基づかないレーザー位置制御手法が実現することで,従来より性能を向上させられると考えられる. そこで,誘電エラストマーアクチュエータ(DEA)を用いた新しいレーザ位置制御手法を提案する.

DEA は,電気的エネルギーを利用して形状変化を引き起こすことが可能な素材であり,DEA の厚みを制御することにより,レーザビームの出射方向を精度よく操作する手法を提案する.誘電エラストマーのたわみは電圧印加により発生するため,システム内では機械的運動が発生しない.さらに,角度ではなく位置に基づいて方向が決定されるため,本用途は長距離でも有効である.

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図1.(左側)ある透明な膜状素材を入射光線が通過する際のずれ変位.(右側)膜状素材の厚さが変化すると,変位_ を制御可能.
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図2.実験装置のレイアウト.

参考文献

  1. Tomohiko Hayakawa, Lihui Wang, Masatoshi Ishikawa, Dielectric elastomer-based laser beam pointing method with ultraviolet and visible wavelength , SPIE Photonics West 2016(San Francisco, California, USA. 2016.02.17)/ (Poster Session) [DOI:10.1117/12.2212081]

東京大学 情報理工学系研究科 システム情報学専攻 ・創造情報学専攻 / 工学部 計数工学科 石川渡辺研究室
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