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高速注視点推定による広域高解像度投影システム

概要

液晶ディスプレイやプロジェクタなど画角が固定された映像提示デバイスにおいて, 限られた画素数により解像度の高さと画角の広さを両立することは難しい. 観測者の注視領域に合わせて映像提示領域が動くことができれば解像度と画角の両立を実現することができるが, 映像提示領域の動的変更に伴う正確な位置合わせだけでなく, 観測者の注視領域の高速な推定を行う必要がある.

本研究では, 本研究室で開発してきた追従的投影モザイキングシステムと, 近赤外光による瞳孔と角膜表面反射像を交互かつ高速に捉えることによる高速注視点推定を組み合わせた, 疑似的な広域高解像度投影システムを提案する(図1). 投影スクリーンの四隅に配置された近赤外照明と 観測者の眼を捉えるカメラと同一光軸に配置された近赤外照明を500Hzで交互に明滅させ, 照明と同期した1,000fpsの高速カメラで眼球を捉えることで, ほとんど事前の校正を必要とせず各照明の角膜表面反射像の位置関係から高速に注視点領域を推定することが可能となる(図2). また,注視点位置に合わせてプロジェクタの光線方向をガルバノミラーで動的に切り替えつつ, ガルバノミラーと高速プロジェクタを適切に同期することで投影像の位置ずれを生じさせない追従的投影モザイキングと連携することで, 観測者視点では視線を変えても一つの大きな映像を表示することが可能となる(図3). また,第三者視点では観測者の視点が可視化される形にもなり得る(図4). スクリーンと観測者間の事前の位置合わせ精度が要求されない計測投影アルゴリズムであるため, 拡張現実感システムにおいて広い範囲で自由に人が動き回るような状況への応用展開が期待される.

図1 コンセプト
図2 高速注視点推定アルゴリズム
図3 観測者視点映像
図4 第三者視点映像

参考文献

  1. Ayumi Matsumoto, Tomohiro Sueishi, and Masatoshi Ishikawa: High-speed Gaze-oriented Projection by Cross-ratio-based Eye Tracking with Dual Infrared Imaging, 2022 IEEE Conference on Virtual Reality and 3D User Interfaces Abstracts and Workshops (VRW2022) (Online, 2022.3.14)/Proceedings, pp.594-595 (2022) Nomination Best Poster Award
  2. 松本明弓, 新田暢, 末石智大, 石川正俊: 高速注視点推定を用いた広域高解像度投影システムの実現, 計測自動制御学会論文集, Vol.58, No.1, pp.42-51 (2022)
  3. 松本明弓,末石智大,石川正俊: 注視点追従高解像度投影に向けた高速視線推定システム, 第21回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会 (SI2020) (福岡,2020.12.17)/講演会論文集, pp.1886-1889 計測自動制御学会 システムインテグレーション部門SI2020 優秀講演賞

東京理科大学 研究推進機構 総合研究院 石川グループ研究室
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