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FTIRを利用した空中超音波触覚ディスプレイ・カメラ系の校正
概要
当研究室で開発されている高速トラッキング技術・ 高速光軸制御による投影技術と, 東京大学新領域創成科学研究科複雑理工学専攻/情報理工学系研究科システム情報学専攻篠田研究室 で開発された空中超音波触覚ディスプレイ(AUTD)により, 動く手のひらや物体に映像と触覚刺激を遅延なく提示することのできるシステムが提案されている.
視覚と触覚に関する高速かつ無拘束な拡張現実感を実現するシステムであるが,位置ずれによる違和感の無い情報提示を達成するには各構成要素となるデバイス間の校正が必要となる. 特にAUTDは任意の三次元空間位置に焦点を形成し,焦点位置の音響放射圧によって触覚刺激を提示するデバイスであるが, カメラにはその焦点は不可視であるためにプロジェクタ・カメラ系のように提示情報をカメラで直接観測する校正手法は適用困難である.
AUTD・カメラ系の簡便かつ高精度な校正に向けて,Frustrated Total Internal Reflection(FTIR)という現象を利用してAUTD焦点位置の音響放射圧を可視化する手法を提案する. 可視光を全反射により内部に充満させたアクリル板に対し,アクリル板上に載せた膜に力が加わると,加圧部においてアクリル表面と膜の接触面積が増え全反射の阻害により光が外部に漏れる. このFTIRによってアクリル平面上の加圧部が輝点として観測可能となるため,特定の焦点パターンを生成することでAUTD・カメラ間の校正が可能となる. 人手による主観的な方法や単一マイクを用いた方法での焦点位置の探索と比較して二次元的な探索が可能であるため,人の作業負担が減ると期待され,高精度な情報提示空間をフレキシブルに構築する際に有用であると考えられる.
参考文献
- 末石智大, 長谷川圭介, 奥村光平, 奥寛雅, 篠田裕之, 石川正俊: 空中超音波触覚ディスプレイ・カメラ系による高速ダイナミック情報環境とその校正手法, 日本バーチャルリアリティ学会論文誌, Vol.19, No.2, pp.173-183 (2014)