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サッカードミラーの校正手法

概要

当研究室で開発されている高速視線制御光学系であるサッカードミラーは,高速トラッキング技術(1msオートパン・チルト)として運動対象の継続的な高解像度撮影が可能である. この技術の三次元計測への応用を考えると,工場における効率的な検査や,鳥や昆虫などの羽ばたきを忠実に再現したCGモデルの作成,高機能なユーザーインターフェースなど様々な応用が期待される. 一方で,サッカードミラーを用いた高精度な三次元計測を行うには事前に十分な精度の校正が必要となるが,焦点距離の長いカメラレンズを用いて近傍を観測する際の浅い被写界深度と,視線変更の機械的構造の二点で高精度な校正に問題があった.

そこで同軸落射照明と再帰性反射校正パターンを用いて,十分な光量を稼ぎつつ絞りを極めて小さくすることで被写界深度を増大させる手法を提案する(図1). ミラー式視線制御系はハーフミラーを使って同軸でのプロジェクタの導入が可能で,当研究室で開発した動く対象へのプロジェクションマッピング技術(るみぺん)とほぼ同様のシステム構成である. サッカードミラー近傍でも校正パターンを被写界深度内に入れることが可能となり,広い視線範囲で校正可能となる.

さらに二軸の回転ミラーによってカメラの光学中心が大きく並進移動する系に対し,ミラー厚みも含めた新しい視線モデルも提案する(図2). 被写界深度増大手法によって得られた広い視線範囲での校正パターンの情報に基づき,この視線モデルに対しバンドル調整(カメラ校正手法の枠組み)を上手く適用することで,サッカードミラーの校正が達成可能となる.


図1 校正時におけるシステム構成(被写界深度増大)
図2 ミラー式視線モデル

参考文献

  1. 末石智大, 奥寛雅, 石川正俊: 駆動鏡面式高速光軸制御系の3次元計測に向けた高精度校正手法, 映像情報メディア学会誌, Vol.71, No.5, pp.J162-J171 (2017)
  2. Tomohiro Sueishi, Hiromasa Oku and Masatoshi Ishikawa: Mirror-based High-speed Gaze Controller Calibration with Optics and Illumination Control, 2015 IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems (IROS) (Hamburg, 2015.9.30)/Proceedings, pp.3064-3070 (2015)
  3. 奥村光平,奥寛雅,石川正俊: アクティブビジョンの高速化を担う光学的視線制御システム, 日本ロボット学会誌,Vol. 29,No. 2 (2011)

東京理科大学 研究推進機構 総合研究院 石川グループ研究室
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