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身体感覚と視覚情報にずれが生じる没入環境における低遅延な映像のユーザーへの影響に関する研究

概要

近年,ユーザーの身体運動をバーチャルリアリティ空間に投影し,直感的なインタラクションを可能にする没入型デバイスが数多く登場している. しかし,それらのデバイスには入力と出力の間に内在的な遅延が存在し,ユーザーの視覚情報と身体感覚に時間的不整合を生じさせる. 既存研究において,自己が投射された,没入感の高い没入環境における遅延の影響は十分に調査されておらず,具体的な指標も存在しない.

そこで本研究では,高速カメラ及び高速プロジェクターを用いて,撮像から投影までの遅延時間が最小で4.3msであり, 1msの分解能で遅延時間を制御可能なシステムを開発し,鏡を用いることで身体感覚と視覚情報に遅延が生じる没入環境を構築し, 心理物理学実験を行った.その結果,本システムによって,既存では未調査の100ms以下の遅延の影響の探索を可能とした. 提案システムを用いて,フィッツの法則に基づくポインティングタスクを行い,ユーザーのパフォーマンスに与える遅延の影響を調査した. 実験結果より,遅延時間が24msを超えるとパフォーマンスが下がり始めることが明らかになった. また,トンネル状のパスに沿って指を動かすステアリングタスクを行う場合には,遅延時間が64msを超えるとパフォーマンスが下がる結果であった. このように,提示する映像の遅延における許容限界値を計測することを可能にした本システムは,今後のインタラクティブな没入型デバイスにおける設計や, バーチャルリアリティを対象とした研究開発における指標として適用可能である.

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参考文献

  1. Himari Tochioka, Haruka Ikeda, Tomohiko Hayakawa, and Masatoshi Ishikawa: Effects of Latency in Visual Feedback on Human Performance of Path-Steering Tasks, The 25th ACM Symposium on Virtual Reality Software and Technology (VRST2019) (Parramatta, NSW, Australia, 2019.11.12-15), Poster [doi:10.1145/3359996.3364726].
  2. 栃岡 陽麻里,早川 智彦,門脇 拓也,池田 遼,石川 正俊: 身体感覚と視覚情報にずれが生じる低遅延没入環境におけるフレームレートが人へ与える影響, 第24回日本バーチャルリアリティ学会大会(VRSJ2019)(東京・2019年9月11日〜13日), 講演論文集,4C-5.
  3. 門脇 拓也, 丸山 三智佳, 早川 智彦, 松澤 直熙, 岩崎 健一郎, 石川 正俊: 身体感覚と視覚情報にずれが生じる没入環境における低遅延な映像のユーザーへの影響, 日本バーチャルリアリティ学会論文誌, 24巻, 1号, pp.23-30, 2019..
  4. Kadowaki, T., Maruyama, M., Hayakawa, T., Matsuzawa, N., Iwasaki, K., & Ishikawa, M. (2018, November). Effects of low video latency between visual information and physical sensation in immersive environments. In Proceedings of the 24th ACM Symposium on Virtual Reality Software and Technology (p. 84). ACM.
  5. 門脇拓也,丸山三智佳,早川智彦,松澤直熙,岩崎健一郎,石川正俊: 身体感覚と視覚情報にずれが生じる没入環境における映像遅延のユーザーパフォーマンスへの影響に関する研究, 第23回日本バーチャルリアリティ学会大会 (VRSJ2018) (仙台, 2018.9.19)/論文集, 12B-1.

東京大学 情報基盤センター データ科学研究部門 石川グループ研究室
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