ハプティックレーダー:近接覚と振動刺激による皮膚感覚の拡張
概要
我々は,空間情報を触覚情報に変換することで, ユーザが直感的かつ自然に反応できる装着型モジュールデバイスを開発している.
このシステムは,アレイ状の「光学的な触角モジュール」が皮膚上に並べてあり, 個々のモジュールは距離情報を感知する. そして感知した情報は振動の強弱に変換されモジュール直下の皮膚に提示される. このセンサシステムは,人が,微生物の繊毛,昆虫の触角や哺乳類の髭のように, 皮膚と直接接していない対象に触れた感覚を得ることを可能にするものである.
将来,このモジュールインターフェイスは,肌全体,あるいは体表面全体を覆い, あたかも2枚目の皮膚となり人間の触感覚の機能を拡張することができるようになるだろう. この種のセンサは,特に障害のない道筋を見つけたり, 衝突を回避したりといったタスクにおいて既存の視触覚変換システムより優れていると我々は考えている. このインターフェイスが対象とするアプリケーションには, 視力障害者のための視覚補助,危険な作業環境での空間認知補助, 車の運転手のためのわかりやすい知覚拡張(この場合, 拡張された肌のセンサは車の表面全体を覆う)がある.
つまり,ここで我々が提案しているのは,人工的,着用型, 光ベースの髪(または触角)である.実際の髪の毛に相当する物は, 見えないレーザビームである.
近い将来,MOEMS技術を用いれば,チップ上に集積化された, 皮膚に埋め込み可能な物を開発できる可能性がある. このMOEMS技術を用いることに関して, 我々は スマートレーザスキャナ のフレームワークで一定の成果を上げている. 最初のプロトタイプである頭部装着型は, 装着者の360°の空間認知を可能にするものであり, 原理実験で非常に良好な結果を得ている.
動画
- Prototype proof-of-principle collision-avoidance experiment (April 2006)
- Computer-controlled headband simulator (virtual maze)
- Independent module demo
参考文献
- A. Cassinelli, E. Sampaio, S.B. Joffily, H.R.S. Lima and B.P.G.R. Gusmão, Do blind people move more confidently with the Tactile Radar? IOS Press, Technology and Disability, Vol. 26, N.2-3, pp:161–170, (2014) [PDF-775KB]
- Cassinelli Alvaro, Reynolds Carson and Ishikawa Masatoshi : Augmenting spatial awareness with Haptic Radar, Tenth International Symposium on Wearable Computers(ISWC) (Montreux, 2006.10.11-14)/Short paper(4 pages) [PDF-103KB] Slide presentation [ PPT-6.4MB]. Unpublished long version (6 pages) [ PDF-268KB]
- Cassinelli Alvaro, Reynolds Carson and Ishikawa Masatoshi : Haptic Radar, The 33rd International Conference and Exhibition on Computer Graphics and Interactive Techniques(SIGGRAPH) (Boston, 2006.8.1)/ [PDF-202KB
- More detailed project web page : http://ishikawa-vision.org/perception/HapticRadar/HapticRadar_LongPage.html
- Exhibited at Ars Electronica - Tokyo University Campus Exhibition: HYBRID EGO (2008).
- Exhibited at new Ars Electronica Center (AEC, Linz) as part of the permanent exhibition New Views of Humankind/Main Gallery/Robolab (2009-2011).