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日本テレビ放送網株式会社の番組「Oha!4 NEWS LIVE」(平成24年7月5日放送分)の放送内容について


日本テレビ放送網株式会社の番組「Oha!4 NEWS LIVE」(以下、当該番組と呼ぶ)の平成24年7月5日放送分で、 東京大学石川奥研究室(以下、当研究室と呼ぶ)の研究成果であるじゃんけんロボットが紹介されましたが、 当研究室の考え方とは違う内容が放送されましたので、以下に当研究室としての見解を改めて表明致します. 尚、本件に関しては、日本テレビ放送網株式会社コンプライアンス推進室としては、 同社のコンプライアンス憲章並びに取材・放送規範にてらして「問題があるとは認められない」という見解を書面でいただいていることを申し添えます.


放送内容1(5時9分53秒頃):
キャスターA氏より、 「認識してから勝つ手を出すまでの時間が、わずか0.001秒、つまり1000分の一秒」 という説明がありました.
当研究室の見解

当研究室で開発したじゃんけんロボットは、認識に要する時間が0.001秒で、認識後直ちにどの手を出すかがロボットハンドに伝えられ、勝つ手を出し始め、 完全に勝つ手が出るまでには0.02秒程度かかります.従って、「勝つ手」の意味をどのように定義しても、 「認識してから勝つ手を出すまでの時間が、わずか0.001秒」ということはあり得ません. この説明は、じゃんけんロボットの動作を説明する際の重要なポイントになるわけですが、本来、この点を短い言葉で正確に説明するのは難しく、 当研究室のホームページや他の放送局の報道では、いろいろと工夫して間違いのない範囲でわかりやすい説明がなされています.


放送内容2(5時10分10秒頃):
キャスターB氏より、じゃんけんロボットに対して 「アドリブがきくということでうらやましい気がしますね」 という発言がありました.
当研究室の見解

当研究室で開発したじゃんけんロボットは、人間が出すグー、チョキ、パーに対して事前に決められた手順に従って動作致しますので、 アドリブのようなその場の思いつきで動くということはなく、すべて事前に決められたシナリオ通りに動きます.専門的には、 予測や学習といった適応構造を用いず、リアルタイムフィードバックのみで動いていることが最大の特徴であり、 予測や学習を用いた場合のように、予測がはずれたり、学習が不十分だったりして、予定外の動作が起ることがないように対処できている点が特徴となっております. つまり、研究室として、「アドリブがきく」ことを導入したわけでもなければ、そういったものを目指したことはありませんし、 今後もそのような方向性で研究を行うことはございません.むしろ、そのようなロボットの危険性や非有用性を指摘し、 従来通り、高速でありながら安全で確実なロボットの実現を目指しております.


放送内容3(5時10分20秒頃):
キャスターA氏より、「ということは、この技術を活用すれば、例えば人が急に飛び出してきても、 即座に反応して自動でブレーキがかかる自動車など様々な分野での応用が考えられる」 という説明があり、それに関連する一連の説明がありました.
当研究室の見解

ここで言う「この技術」の意味するところは、説明の流れから考えて、上記2.のキャスターB氏の発言あるいはその発言に繋がる一連の発言を受けていると思われます. しかしながら、上記2.で示したとおり、当研究室ではアドリブで動く自動車等は一切開発しておらず、高速で確実なシナリオ通りに動くシステムの開発を目指しております. 「この技術」が「当研究室の研究の全体像」を指しているのであれば、正しい説明となりますが、 当該番組では、「当研究室の研究の全体像」の紹介がなく、「アドリブがきく」ロボットとして紹介されたので、当研究室の研究開発方針とは違ったものとなります.
 当研究室並びに当研究室が関与する研究開発においては、自動車の安全に関わる研究に対して、 予測や学習を極力排除した確実な動作を実現する高速システムの実現に向けて、努力致しております. その際、安全の確保は様々な条件を考慮して慎重かつ堅実に進めており、ここで表現されたような開発方針はとっておりません.


放送内容4(5時10分32秒頃):
キャスターB氏より、「ロボットはどんどん人間に近づいていますね」 という発言がありました.
当研究室の見解

当研究室では、「人間に近づくロボット」や「人間を目標とするロボット」の開発は行っておりませんし、今後も行う予定はありません. 当研究室の研究の全体を支える基本姿勢は、「人間の能力を超えるロボット」であって、 「人間を目標とするロボット」を当研究室の目標とはしないことが、当研究室のプライドであり、世界をリードする最も重要な姿勢であります. 開発したじゃんけんロボットは、「人間を越えるロボット」の1例であり、「人間に近づくロボット」ではありません. 例えば、認識時間だけをとってみても、じゃんけんロボットは0.001秒なのに対して、人間の認識は30倍以上遅いと考えられるので、 「人間に近づいていますね」という発言は、新幹線(時速300km/h)を見て、「人の早足(時速10km/h)に近づいていますね」といっていることに相当します.
 他の放送局の報道では、このことを正確にご理解いただき、「人間を越えるロボット」といった表現を使って当研究室の研究の全体像を紹介していただいております. 例えば、TV朝日の「奇跡の地球物語」平成24年7月1日放送では、 記録にあるように、インタビューで、「我々の研究室では人間をロボットの目標とするのはNO。人間を超えるロボットを目指している。」と明言しております.


放送内容5(5時10分37秒頃):
キャスターA氏より、「ロボットと私達人間が協力し合って一緒に暮らす日ももうそこまで来ているのかもしれません」 という発言がありました.
当研究室の見解

当研究室が開発しているロボットハンドの最も重要な応用は、人間との関わりが少ない工場の高速化や自動化機器であり、 (遠い将来は別ですが)ここで表現されている「もうそこまで」という近未来においてロボットと一緒に暮らすことはもちろんのこと、 人間と直接的に接触あるいは接触する可能性のある部分で活用することは想定しておりません. 理由は、当研究室のロボットが人間に比べて速すぎることに起因して、 危険性が高いためであり、基本的にはPL法や国の安全基準を満たす技術が開発されるまでは、応用できないと考えております.
 ただし、この方針は人間と接触を伴うあるいは接触する可能性があるロボットに係わる近未来に限った方針であり、 当研究室の研究全体としては、ロボット以外の分野や人間との接触を伴わないロボットの応用として、ヒューマンインタフェイスや医療等、 人間の動作支援や人間との協調作業等で応用展開が図られると考えておりますし、既に実用化されたものや実用化の近いものもあります. 接触を伴うロボットに関しても、遠い将来において安全基準を満たすことができた後は、いろいろな展開が図られるものと考えております.


他の放送局の報道について

尚、他の放送局(テレビ朝日、TBS、フジテレビ、NHK)のじゃんけんロボットに関する報道では、当研究室の研究の全体像をご理解いただき、 じゃんけんロボットだけを取り上げるのではなく、研究室の研究の全体像を正確かつわかりやすく報道していただきましたことを申し添えます.


著作権の使用許諾条件について

また、当該番組で使用されたじゃんけんロボットに関するヒデオの著作権は、当研究室のメンバーが所有し、当研究室が管理しております. 今回、当該番組の要請に対し、「当研究室の研究の全体像を紹介する」ことを条件に使用を許諾したものですが、上述したように、 条件である「当研究室の研究の全体像を紹介する」放送はなされませんでしたので、著作権の許諾条件は成立していないと考えております.


今後の対応

繰り返しになりますが、当該番組の放送に対して、日本テレビ放送網株式会社コンプライアンス推進室としては、 同社のコンプライアンス憲章並びに取材・放送規範にてらして「問題があるとは認められない」という見解を書面でいただいております. 当研究室は、日本テレビ放送網株式会社に対し、これまでに17回取材協力を致しましたが、 今回の日本テレビ放送網株式会社の見解を考慮して、今後、日本テレビ放送網株式会社、 並びに系列会社、関係会社の取材要請は、当研究室の見解が理解されない限り、お断りすることに致しました.

尚、日本テレビ放送網株式会社の日本テレビ取材・放送規範では、 以下の記述(抜粋)が公開されております.

 一、放送は、事実の上に立って行なわなければならない。
 一、事実を歪曲してはならず、また、誤解を招く過剰表現や断定的な表現をしてはならない。
 一、万一、誤った放送や人権侵害をした場合には、過ちを改めることを恐れてはならない。

また、同社コンプライアンス憲章(行動憲章)では、 以下の記述(抜粋)が公開されております.

6.【誠実で公正な事業活動をします】 (4) 知的財産
 私たちは、知的財産権を尊重し、会社の知的財産権を厳格に保全すると同時に、他者の知的財産権を侵害しないよう細心の注意を払い、 適正な手段で入手、使用します。


平成24年8月10日
東京大学情報理工学系研究科 石川渡辺研究室 教授 石川正俊

 
東京理科大学 研究推進機構 総合研究院 石川グループ研究室
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