高速3Dビジョンと市販ロボットアームの統合
概要
ロボットが環境や作業対象を観測し,知能的な動作を行うための「目」として,カメラを利用した2D・3Dビジョン技術およびビジュアルフィードバック制御技術が既に広く応用されている.現在,一般的な2D・3Dビジョンは30~100fps で動作しているため,モーションブラーが発生しない低速な応用に限られている.本研究では,アクティブステレオ方式を用いた高速三次元計測システム(1,000fps)を開発し,広く利用されているロボットアームとの統合を目指す.特に,UR10eを用いてFig.1に示すようなシステムを構築し,フィードバックレートによる性能の検討を行う.
本研究では高い時間分解能で対象を捉えるため,アクティブステレオ方式の三次元計測システムを用いた.構造化光パターンにはワンショットで高速に3次元形状を取得可能なパラレルバスパターンを利用し,高速カメラ(OMRON SENTECH,STC-MBV133U3V-SP,648×474@1,000fps)とプロジェクタ(TEXAS INSTRUMENTS,DLPDLCR230NPEVM,1920×1080,投影画像固定)を用いて計測システムを構築した.高いフィードバックレートは,低いフィードバックレートに比べて応答性の向上,より細かな制御,高速システムにおける安定性の向上といった利点がある.計算量やノイズなどの影響を考慮しない場合,Fig.2に示すようなフィードバックレートが制御誤差に与える影響に関する仮説が立てられる.
1)飽和フィードバックレート以内であれば,フィードバックレートが高いほど制御誤差は小さくなる;
2)飽和フィードバックレートを超える時間分解能のフィードバック情報をロボットに提供しても,制御誤差の改善は見られない;
3)動作帯域が広いロボットほど,飽和フィードバックレートも高くなる;
評価実験では,計測対象は速度調節可能なステッピングモーターで駆動され,不規則かつ高速な円周状の往復運動を行う.フィードバックレートを50Hz, 100Hz, 200Hz, 250Hz, 333Hz, 500Hzの6段階に設定し,UR10eの追従精度を比較した.また,異なる動作帯域のロボットを模擬するため,各周波数においてUR10eの速度スライダーを50%,60%,70%,80%に設定し,出力制限の異なる条件での追従実験を行った.追従性能の評価指標として,UR10eの手先位置と計測対象の三次元位置との間のユークリッド距離を積分し,その平均値を算出する.Fig.3に,UR10eのエンドエフェクタと計測対象間のユークリッド距離平均誤差の結果を示す.各速度スケールにおいて,ロボットの速度が高くなるほど追従誤差が小さくなる傾向が確認された.また,速度スケーラーが一定の場合,カメラのフィードバックレートが高くなるにつれて誤差が減少する傾向も確認された.さらに,フィードバックレートが 200Hzを超えると,誤差がほぼ一定となり,この範囲においてロボットが飽和フィードバックレートに達したと推察される.
Fig.1 開発した高速3DビジョンとUR10eの統合
Fig.2 フィードバックレートと制御誤差の関係に関する仮説
Fig.3 異なる条件下でのUR10eの位置決め誤差
参考文献
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S. Huang, W. Wang, L. Miyashita, K. Murakami, Y. Yamakawa, and M. Ishikawa, “Utilizing High-Speed 3D Vision for a Commercial Robotic Arm: Direct Integration and the Dynamic Compensation Approach,” J. Robot. Mechatron., Vol.37 No.2, pp. 424-433, 2025.
- 王文鶴,黄守仁,宮下令央,村上健一,山川雄司,石川正俊: 高速3Dビジョンとロボットアームの統合:フィードバックレートによる性能検討, 第24回 計測自動制御学会 システムインテグレーション部門講演会 (SI2024) (岩手, 2024.12.16)/講演論文集, pp.780-782