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トンネルにおけるクラック検出を目的としたシルクスクリーンを用いた再帰性反射マーカ

概要

当グループでは、高速道路巡回車に搭載することができ、100 km/hの走行に対応するトンネル検査装置を提案している。このシステムにより、交通規制なしで定期的な点検が可能になり、建設後数十年が経過したトンネルの状況を観察することができる。ただ、トンネル内ではGPSなどが使用できないため、撮影したトンネル壁面のクラックの位置を取得することは困難であった。そのため、クラックの変化を長期間にわたって観察するためには、クラックを一意に特定することが必要である。

そこで、トンネルの壁面にクラックに対応したマーカーをつけることを考える。マーカーには、トンネル内にマーカーが落下するような事故が起きないこと、暗い環境でも認識できること、走行中に撮影してもモーションブラーに影響を受けないことが必要である。そこで、再帰性反射塗料を用いて、シルクスクリーン印刷で一次元バーコードのマーカーをトンネル壁面に作成した。コンクリート壁面に対して再帰性反射塗料を用いて印刷する方法と、コンクリート壁面に下地で再帰性反射塗料を塗り、99.4%の光を吸収する黒色塗料を使用して印刷する方法の2つの方法で、どちらがマーカーの作成に適しているかを検証した結果、後者の方法の方が高いコントラストを示したことが分かった。

Barcode White barcode marker Black barcode marker

また、後者のマーカーが実際のトンネル点検の環境で使用できることを実証するための実験を行った。モーションブラーが生じる環境下で、ソフトウェアを用いて正しくバーコードが認識できることが確認された。特に,コンクリート上に印刷する際に生じた「かすれ」がモーションブラーにより除去され、モーションブラー環境下においての方が認識の精度が良いという結果となった。トンネル内でマーカーを使用する環境に近づけるため、R500-5000のコンクリート壁面モデルを作成してマーカーを印刷し、±45度からマーカーを撮影した。その結果、R500の壁面に印刷されたマーカーを±45度から撮影した場合でも認識できることが実証された。さらに、R500-5000のすべてのコンクリート壁面上のマーカーを±45度から撮影しても認識されることが確認された。

Experiments
Curved tunnel wall models Captured marker on R500 from 45 degrees
Results without motion-blur Results with motion-blur

参考文献

  1. Yushan Ke, Yushi Moko, Yuka Hiruma, Tomohiko Hayakawa and Masatoshi Ishikawa: Silk-printed retroreflective markers for infrastructure-maintenance vehicles in tunnels, Proc. SPIE 12046, Sensors and Smart Structures Technologies for Civil, Mechanical, and Aerospace Systems 2022, 120460C (18 April 2022); [https://doi.org/10.1117/12.2611990]
  2. Yushan Ke, Yushi Moko, Yuka Hiruma, Tomohiko Hayakawa, Elgueta Scarlet, Masatoshi Ishikawa, "Silk-printed retroreflective markers for infrastructure-maintenance vehicles in curved tunnels," Proc. SPIE 12483, Active and Passive Smart Structures and Integrated Systems XVII, 124830M (28 April 2023); [https://doi.org/10.1117/12.2656420]

東京理科大学 研究推進機構 総合研究院 石川グループ研究室
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