スマートレーザープロジェクター:カメラレス センシングディスプレイシステム
概要
スマートレーザープロジェクター(以降SLPと表記)は、レーザーを用いたプロジェクターであり、 あらかじめ条件を指定されていない様々な物体表面に対してグラフィックを描画することが可能である。 その一方、レーザーのビームを描画と同時にレーダーとして用いることで、 照射表面の位置、形状、微細なテクスチャー、スペクトルの反射率、 そして相対的な動きでさえも取得することが可能である (両者のビームは同時、異なる波長、もしくは偏光を利用)。 そのため、様々な表面反射率を総合的に扱え、幾何学的な歪みを正しく補正することも可能である。 また、すべてリアルタイムで処理され、カメラとプロジェクターのキャリブレーションを行う必要がない。 これまで私たちは2つのプロトタイプを開発してきた。一つはラスタースキャンを行うタイプで、 もう一つはベクターグラフィックモードを搭載したものである。 ベクターグラフィックモードでは、本研究以前に開発された スマートレーザースキャナー、 スコアライト、 スティッキーライト を特別なアプリケーションとして組み込んでいる。
ARは、ここでは実際の物質上に記号(文字列)やアイコンを重ねて描画することを意味しており、 危険な障害物の方向を示すことや強調表示すること、 そして実用的や美的な目的で線や輪郭を強調することにも利用可能である。
SLPは様々な応用分野を想定している。
- 医療分野(皮膚科学:皮膚表面付近の静脈を強調して描画すること、 癌細胞によって誘発される特異な偏光を皮膚表面に可視化すること)
- 非破壊コントロール(微細な傷、油分の付着した箇所、機械的な圧力の可視化)
- セキュリティー(個人認証:蛍光灯環境下における紫外線や赤外線の透かしの可視化)
- 様々な表面(テーブル、壁、床、人肌、印刷物、絵画、陳列された商品等)へのプロジェクションを可能とする、 全ての種類のARアプリケーション
レーザーを利用したセンシングディスプレイシステムは、 従来のプロジェクターとカメラを利用したシステムに対して様々な利点を持っている。
- カメラとプロジェクターのキャリブレーションが不必要
- 高速なフィードバック(画像処理が必要ないことによる)
- 幾何学的な補正、色やコントラストの強調及び補正が可能
- 極めて深い被写界深度
- 様々な解像度に対応:ROIにおいてレーザーのスキャニング幅が向上
- シンプルでコンパクトな光学システム:二次元の画像光学ではなく、 そのため収差や大きな光学装置がない
- 遠距離へのプロジェクションが可能(ベクターグラフィックモードにおいて。 屋外でのインタラクティブシステムも可能)
MEMSを利用した小型SLPは衣類への埋め込みが見込まれ、 どんな表面でもインタラクティブなセンシングディスプレイにしてしまうウェアラブルディスプレイへの利用も想定している。
動画
参考文献
- A. Cassinelli, A. Zerroug, J. Angesleva and M. Ishikawa, "Camera-less Smart Laser Projector", Laval Virtual - 12th Virtual Reality International Conference / ReVolution Demos, April 7-11 2010, Laval, France. (Additional (handout): [PDF-2,2MB], Poster [PDF-5.3MB]). [SIGGRAPH E-tech Revolution Award: invited to SIGGRAPH E-Tech 2010].
- A. Cassinelli, A. Zerroug, Y. Watanabe, J. Angesleva and M. Ishikawa, "Camera-less Smart Laser Projector", SIGGRAPH 2010 (invited to Emerging Technologies). July 25-29 2010, Los Angeles. One paper abstract: [PDF-1.4MB]. Flyer [PDF]
- Laser Sensing Display & scoreLight shown at the JST Symposium in conjunction with IEEE VR2011, Suntec Convention Center, SINGAPORE (20-27.3.2011) [poster 1 / poster 2]