記憶の箱/知識の立体素
概要
このプロジェクトは、慣れ親しんだ通勤途中のビルや曲がり角、並木や花々など、身の回りのあらゆるものを用いた、保存や検索などのデータ管理の枠組みの構築に向け、3次元の仮想的なデータコンテナを実空間に重畳することで、触れられないクラウドコンピューティングに取って代わるシステムの実現を目指している。この"Memory Blocks/Knowledge Voxels"プロジェクトでは、仮想的なデータコンテナを実空間へ重畳するというアイディアのもと、具体的なデータの提示手法やデータを閲覧するインターフェイスの開発を進めている。さらに、「場所法」は基礎結合法と呼ばれる記憶術の一つで、情報を「記憶の宮殿」と呼ばれる空想上の空間と結びつけることで効率的に記憶する手法であり、この研究は「記憶の宮殿」を個々の心の中ではなく、相互に利用可能な3次元空間に落とし込むことで、この記憶術を次の段階に進めることを見据えている。これらのコンセプトは本研究室で開発された空間的なARやMRの技術とタンジブルインターフェイスを融合させることで実現可能となる。我々はまず、会議室や公共スペースにおいて"Memory Blocks"を複数人で同時に扱えるようにし、Web 2.0の技術を用いてオンラインの情報共有やブックマークを可能にすることを進めている。
体積を持った仮想的な物体である"Memory Blocks"を実空間に重畳することでこのシステムは機能し、マルチメディアを空間的に構築する土台として活用することができる。また、"Memory Blocks"は、目次の代わりに検索機能を持った仮想的な図書館、または本棚として捉えたり、音楽や文献、連絡先などといった情報を保存できる任意形状のコンテナとして捉えることもできる。"Volume Slicing Display"で既に示したように、ユーザーは重畳により結び付けられたスペースを利用して注釈をつけるなど、インタラクティブに対象を扱うことも可能である。
参考文献
- Puig J., Perkis A., Pinel P., Cassinelli A., Masatoshi I., The neuroscience social network project, SIGGRAPH ASIA 2013 (poster), 19-22 Nov. 2013, Hong Kong. (2013) [PDF-1MB]
- Puig J., Perkis A., Hoel A.S., Cassinelli A., A-me: Augmented Memories, SIGGRAPH ASIA 2013, (art paper), 19-22 Nov. 2013, Hong Kong. (2013) [PDF-35MB]
- Summary description of the project (Memory Blocks & Knowledge Voxels, Kiban Research Project / Alvaro Cassinelli / 2012 to 2014) [PDF-1MB]