Boo-Hooray: 倫理に関する記述の識別,分析手法
概要
「言語・真理・論理」(A. J. Ayer)は道徳的判断や説教, もしくは記述は真偽を問えるものではなく, 単なる感情的記述であるという点で驚くべき立場にあると言える. 彼の議論は論理実証主義的な立場を支持するものであり, コンピュータシステムが言葉の倫理的な側面(善悪)を認識するための新たな手法を示唆している. すなわち,感情表現は, 隠喩的な群衆の倫理的な反応による「ブーイング」または「賞賛」になぞらえることができる.
この論文では,与えられた単語を検索し, 検索結果の文章中にある単語を「ブーイング」と「賞賛」とに分類する単純な自然言語処理システムを示している. 単語の分類では,Cowie et alによって集められた感情的言葉のリストや, WhisselやPlutchikによる言葉の位置付けの記録を利用している. このシステムでは,ユーザが選択する言葉に対し, 感情的な得点を割り当てるためのこうした言葉のリストや,サーチエンジンを用いている.
本研究のオリジナリティは,計算機が原文の検索要求を倫理的に評価する初歩的な手法の提示にある.
Boo-hoorayは,倫理に関する記述の識別,分析手法を追求するシステムの例である. これは,哲学的実験または,倫理の性質に関して批判と討議が起こり得る人為的結果、 つまり話の種として捉えるべきものである.
参考文献
- Reynolds Carson : Boo-Hooray and Affective Approaches to Ethical Textual Analysis, Computers and Philosophy, an International Conference (Laval, 2006.5.3-5) [ PDF]