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SPE-II:並列光電子コンピューティングシステム |
将来の高性能なコンピュータシステムでは、 「光」と「電子」がそれぞれの能力に適した用途に応用された 形態を取ると考えられる。 高度に発達した電子技術は、マイクロプロセッサに見られるような 強力な汎用の演算処理能力をもたらし、 一方、光はその物理的特徴として、莫大な通信のバンド幅、 信号間の非干渉性などの電子にはない利点を持っていることから デバイス間の通信に高い能力を示している。
電子デバイスによる演算能力と光デバイスによる通信能力の双方に注目した 「スマートピクセル」ではこれら両技術の融合が実現されていえる。 面発光レーザアレイ・スマートピクセルプロセッシングエレメント(PE)・ マイクロオプティクス・光電集積回路などの開発により 光と電子の双方の利点を生かした 高性能な演算システムが将来において実現可能だろう。
我々は、 局所的な処理を行なう汎用のプロセッシングエレメント(PE)と 光インターコネクションを組み合わせた光電子ハイブリッド 並列処理システム(SPE-II)を提案、実現した。
SPE-IIの基本的アーキテクチャは、 Fig. 1に示すパイプライン構造である。 演算要素である PE (processing element) のアーキテクチャとして コンパクトな回路を用いており、集積化技術を用いてワンチップ化が 実現されている。
このシステムは、従来の並列処理システムと比較して、 三つの主だった違いが挙げられる。 第一は、画像のような2次元パターンが完全に並列に入力、処理、 出力されることである。 第二に近傍以外のプロセッサ間のデータの通信においては、 光学的な経路つまり光インターコネクションを利用する。 このことにより、ある種の演算の計算時間を短縮できる。 第三に光インターコネクションの接続形態が再構成可能である点である。 最初の二点の有効性は良く知られているが、 3点目の再構成可能性によって、このシステムは 通常の並列処理コンピュータのように固有の接続形態ではなく、 アルゴリズム自身が有しているデータフロー構造に最も適した 接続形態を利用することが可能になる。
我々は現在までに一つのスマートピクセルアレイを用いることにより、 実質的にパイプライン構造と等価な構造を有する Fig. 2に示すようなフィードバック型システムを実現した。 面発光レーザアレイから出射した光は GRIN(gradient index)ロッド レンズシステム を通し、 位相変調型の空間光変調素子(Spatial Light Modulator:SLM)に入射し、 回折し、フォトディテクタ(PD)アレイに結像する。 SLM に書き込む 計算機ホログラム(Computer Generated Holograms) の パターンを書き換えることにより、 光インターコネクションの接続形態を動的に変化させることができる。 PE でのインストラクション及び光インターコネクションのパターンの 双方とも完全にプログラム可能となっている。
ここで用いられている PE は我々の研究室の ビジョンチップ プロジェクトに基づいたものであり、 各 PE は数値計算ユニット(ALU)とローカルメモリを有する。 スマートピクセルアレイはマイクロインストラクションによる プログラミングが可能な SIMD 型計算機である。
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