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ホヤ精子の高速トラッキング

概要

本研究室で開発した微生物トラッキングシステム を実際の生物学研究に応用する試みの一つとして, 東京大学三崎臨海実験所の吉田グループ と共同で,ホヤ精子研究への応用をすすめている.

ホヤ精子にはある種の化学物質に近寄って行く性質 (走化性) があり, 走化性のメカニズムの解明は不妊治療応用などの点から期待されている. 精子走化性を評価するには, 顕微鏡下で精子の位置姿勢や鞭毛の形状を広範囲にわたって継続的に観察する必要があるため, 本研究室の微生物トラッキングシステムを導入することとした.

ホヤ精子は 1 秒間に頭部直径の 150 倍の距離を泳ぐという驚異的な遊泳スピードを持ち, また非常に小さく見えづらいことから,トラッキングが難しい対象である.しかし, 構成要素やアルゴリズム等を調整することで,極めて高速なホヤ精子をトラッキングすることに成功した.

現在,誘引物質の濃度勾配を形成する特殊な容器を用いて実際にホヤ精子の走化性を計測している.

System configuration. Cropped image sequence of a swimming sperm.

動画


走化性計測結果


ホヤ精子走化性の計測例.容器内に寒天で固めた走化性誘引物質(Chemoattractant)を作成することで,容器内に誘因物質の濃度勾配が作成されている.濃度勾配の高い方へ精子が運動する様子を計測した結果を,計測された精子像とそのプレパラート上での位置とを合成したビデオとして示す.


参考文献

  1. Hiromasa Oku, Naoko Ogawa, Kogiku Shiba, Manabu Yoshida, and Masatoshi Ishikawa : How to Track Spermatozoa using High-Speed Visual Feedback, 30th Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology Society (EMBC 2008) (Vancouver, 2008.8.21) / Proceedings, pp.125-128 [PDF (1.5M)]*IEEE (口頭発表)
  2. 尾川順子,石川貴彦,奥寛雅,柴小菊,吉田学,石川正俊:高速ビジュアルフィードバックを用いたホヤ精子のトラッキング, 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会2007(ROBOMEC 2007) (秋田,2007.5.12)/講演論文集,2A2-O05 [PDF (998K)]

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東京理科大学 研究推進機構 総合研究院 石川グループ研究室
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